泥憲和さん逝く 憲法9条を生かす安全保障論を説得的に語った人、安らかに。

2017年5月3日、憲法記念日に、泥憲和さんは帰らぬ人となった。余りにも惜しい。もっともっと活躍して欲しかった。

泥憲和(どろ・のりかず)さんは、自衛隊を愛する元自衛官。
憲法9条を持つ日本国で、自衛隊は安全保障のためにどう関わるべきか、日本は世界の紛争にどう関わるべきかを、事実に基づいて論理的にお話をされる人だった。
私は、2014年に、元自衛官とされる人が路上でマイクを握り集団的自衛権行使容認を批判した動画をネット上で観て、それが泥さんであるということを知って以降、ずっと注目して来た。泥さんのSNSや書籍等での文章を読むたびに、刺激を受け、安保法制廃止のたたかいだけでなく、社会運動や政治闘争はどうあるべきかを深く深く考えさせられた。

2016年6月の講演(和歌山県田辺市)をYouTubeで拾って来たので、リンクを張っておこう。
1時間43分あるが、新しい発見がたくさんあると思うので、護憲、改憲、よくわからない・・・いろんな立場の人にぜひご覧になっていただきたい。

いま日本は安倍政権のもとで危険な戦争国家づくりに邁進している。

2012年12月に第二次安倍政権が発足。
2013年に特定秘密保護法を強行成立させ
2014年には、安倍内閣は閣議決定で憲法解釈を変えて集団的自衛権を容認する。
2015年9月19日、国民の大反対の中で安保法制=戦争法を強行。
これを機に、国民の反対世論は沈静化するどころか、戦争法廃止、立憲主義を守る戦いは一層広がり、年を越した。
野党と国民の共闘の努力は紆余曲折を経て、2016年の参院選において全ての1人区(32選挙区)で野党候補の一本化が実現した。

この動画は、この参院選を目前にした際の講演である。
自衛隊が「専守防衛」を任務とするからこそ、隊員が携行する救急キットが貧弱なものになっており現状は自腹で薬を補充しているというお話、災害派遣に使用するクーラーボックスが市販品のため色をミリタリー色に自ら塗り替えているというお話も、自衛隊をよく知る人のリアルな話である。自衛隊の置かれているポジションとその中での苦労が実によくわかる話である。
世論を操作しようとする「中国脅威論」「北朝鮮脅威論」とその狙いについても、事実に基づいて批判をしている。

「世界平和への貢献は非軍事でこそ可能」「憲法9条を持つ日本だからこそ危険な紛争地域で活動が可能」ということが、実際にアフガニスタンでの灌漑・緑化事業(中村哲さんら)や、フィリピンのミンダナオ島での政府・反政府勢力との和解を学校建設を軸に成功させた、といったお話がとても印象的である。

民族紛争の和解に果たした日本の実践を高く評価し、ここにこそ真の平和を構築する道があり、日本の役割があることを確信させる講演である。最後は涙が止まらなかった。

なお、翌日の「しんぶん赤旗」の記事から、泥さんが1982年に日本共産党に入党されていたことを知った。

泥さん、安らかにお眠りください。

2017年5月4日の「しんぶん赤旗」に掲載された訃報記事。